制作工程
成形には花瓶や湯呑など
轆轤だけで作り上げる「丸物成形」と、
皿や鉢など丸物以外の変形ものを作る
「型打成形」があるが、
どちらも江戸時代から伝わる
伝統的な成形法である。
特に「型打成形」は、
柿右衛門窯のある南川良地区では
昔から盛んに行われてきた技法であり、
これはその制作見本である。
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- 生素地
- 型打成形の場合、手こねによって整えられた陶土を轆轤にのせ、原型(土型)に合わせておよその大きさの形をつくる。
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- 生素地
(型打成形後)
- 生乾きの状態で原型(土型)に被せ、型打棒でたたいたり、手で押さえたりしながら、原型にそって形を作り上げていく。
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- 生素地
(仕上げ削りおよび水拭き後)
- 型打成形された素地をある程度乾燥させ、仕上げの削りをして形を整える。
その後、木綿布や筆を水に濡らしながら素地の表面のごみ等を丁寧に拭き取る水拭きの作業をして成形が終了する。
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- 素焼き
- 成形が終わったものはよく乾燥させた後そのまま窯に入れ、900度くらいで素焼きをする。
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- 下絵付(染付)
線描き
- 呉須を用いて染付の線描きを行う。(絵の輪郭を描く)
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- 下絵付(染付)
濃み
- 太い筆に呉須をたっぷりふくませて、線描きされた輪郭の内側(外側の場合もある)を塗る。
これを「濃み(ダミ)」という。
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- 施釉(縁錆含む)
- 陶石と柞灰を混ぜて作った釉薬を施す。
物によっては縁に錆釉を施すこともある。
釉薬の掛けムラや流れ等丁寧に仕上げをして、本焼窯積みを行う。
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- 本焼き
- 登り窯の構造を一部利用した薪窯を使用。「あぶり焚き」、「ねらし焚き」、「攻め焚き」の順で行い、最後に「あげ火」という方法で40~45時間(1300度)の焼成を行う。燃料の薪は赤松を使用する。
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- 上絵付け(赤絵)
線描き
- 赤と黒の上絵の具で絵の輪郭を細く鋭い筆致で描く。
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- 上絵付け(赤絵)
濃み
- 柿右衛門の基本色である赤、モヨギ(緑)、群青、紫、キビ(黄)等の絵の具を使い、線描きされた輪郭の内側を濃淡や表情をつけながら塗る。
その後赤絵窯で8~10時間(800度)の焼成を行う。
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- 完成品
- 窯の中が十分に冷めたら取り出して検品を行い、完成となる。